優秀なパート従業員のステップアップを後押し。
制度導入を“人財”定着とさらなる活躍の一手に。

従業員の声に耳を傾け、手当の支給で「手取り減少」の不安を解消。

  • 社会保険加入促進コース

株式会社NISHISATO

代表取締役 横川みどりさん

  • 事業内容

    バーコード・2次元コード・RFIDを利用した『自動認識システム』導入の提案、ソフトウェア・サプライ製品の販売等。

  • 従業員数

    社員21名、パート13名

  • 創業

    44年(1981年)

パート社員が半数を占め、子育て中の女性が多く活躍する同社は、優秀な人材の定着・正社員登用を目指し、奨励金を活用して社会保険加入促進手当を新設。「正社員と同様に活躍するパート従業員を応援する」文化の醸成・仕組みづくりに取り組んでいる。

本事例の3つのポイント

  • 活躍の幅を広げてもらうため、優秀なパート従業員の正社員登用へのステップアップを後押し
  • 個別相談にて、専門家(社会保険労務士)による相談をフルに活用し、「従業員間の不公平感を生まない支給条件」と「長期的に支給が続けられる金額」をポイントに制度設計
  • 中小企業ならではの社長と従業員との距離の近さから、制度の新設および導入をスムーズに実現

「年収の壁」を解消し、“成果を上げる従業員”の活躍を後押ししたい

今回、社会保険加入促進に関する手当を新設することに至った背景を教えてください

当社は、従業員34名のうち29名が女性でそのうち約半数をパート従業員が占めており、その大半は仕事と子育てを両立しながら働いている方々です。また、パート従業員の多くは、税金の扶養範囲や社会保険加入の収入金額ラインを常に意識しながら働いており、「年収の壁」による働き控えが起きているのが当社の現状です。

このような状況の中でも、限られた時間の中で正社員と同等、あるいはそれ以上の成果を上げる優秀なパート従業員は少なくありません。会社は、こうした優れた人材にはいずれ正社員としてより大きな役割を担い、活躍の幅を広げてもらいたいと考えています。

「活躍してほしい人材ほど制度の壁に阻まれてしまう」という状況をどのように打開していくかは、当社にとっては長年向き合ってきた大きな課題でした。

制度設計にあたって、社長ご自身の経験や思いは影響していますか?

実は、この課題感の背景には、今は経営側の立場に立つ私自身の原体験があります。私が子育てをしていた当時は、「子育て中の女性はパートとして扶養内で働くのが一般的」という風潮が社会全体にありました。

子育て中は何かとお金がかかるからこそ限られた時間でしっかりと働きたいけれど、働ける時間に限りがあり、そのことで、その結果として成果を十分に出せず、待遇や評価が思ったように得られない場面も少なくありませんでした。

そんな悔しい実体験から、私が経営者になってからは、働く時間の長さに関わらず、成果を上げている従業員の意欲を後押しできる環境づくりを大切にしてきました。

今回の社会保険加入促進手当制度導入も、働く意欲を削がない環境づくりの一環として導入を決めました。パート従業員が社会保険に加入することで、「働く時間を増やした結果、かえって手取りが減ってしまうのではないか」という不安や、実質的な金額面での負担を制度で軽減したいと考えました。


個別相談を活用し、従業員・会社双方が納得できる支給額に

制度新設の進め方と、手当の支給額決定のポイントについて教えてください。

従業員に「どれくらいの金額の手当を支給するか」という部分は慎重に検討する必要があったため、この奨励金の2回の個別相談をフル活用して、専門家(社会保険労務士)に相談しながら進めていきました。はじめに、従業員の間で不公平感が生まれないよう上限金額を取り決め、支給対象者が広がりすぎないように支給条件の設定について綿密に練ったうえで、就業規則に条文として明記しました。

さらに、会社が長期的にこのまま制度を続けていけることも考慮して、手当の金額を設定しました。

専門家(社会保険労務士)による個別相談は有効にご活用いただけましたか。

今までも就業規則を修正し、アップデートしたことはあるのですが、制度を新設して就業規則に盛り込むのは今回がはじめてでした。そのため、新しい制度に関する条文をゼロから作成する必要がありました。  その際、「記載方法が一語違っただけでも対象となる従業員が増えてしまうなど、会社の経営にも影響しかねない」などのリスクを回避するため、専門的なアドバイスをいただけたことはとても助かりました。また、この奨励金の申請は、手続き方法・届出の順番や期限を間違えると申請が受理されないことがあります。専門家(社会保険労務士)からこの奨励金における注意点を分りやすくかつ丁寧に教えてもらうことができたため「取り組みの順序や提出期限を間違えることなく申請できる」という安心感が得られました。

今回、この専門家の伴走があったからこそ、新設制度の条文作成や申請手続きの不安を全て解消できたことが、スムーズな制度の導入と申請手続きを問題なく進められたと感じます。

その一方で、1回1時間で2回という限られた相談時間を有効に使うために、事業主側でもある程度の事前準備を行いました。たとえば、相談日当日に円滑にご回答いただけるように事前に聞きたいことを質問リストにして、専門家と共有しました。また、奨励金の募集要項や関連情報も事前にじっくりと読み込んだうえで臨むようにしました。


日ごろの従業員との信頼関係が、心の声を拾う

新制度を導入した際、どのように従業員に周知しましたか?また、その時の従業員の反応はいかがでしたか?

周知は、全社の従業員が参加するオンラインの朝礼で行いました。正社員のみならずパートも含め、全ての雇用形態の従業員から反対意見は出ませんでした。

当社ではこれまでにも、イベント休暇やファミリー休暇の導入など、従業員の働きやすさに直結する制度を積極的に整えてきました。また、社長と従業員との距離が近く、日ごろからささいな違和感や本音といった「心の声」を拾い上げることを意識して、信頼関係を構築してきました。そうした取組を今まで積み重ねてきた結果、会社に対する一定の信頼感が醸成され、今回も、「従業員の働き方に考慮した取組を導入してくれた」と従業員にポジティブに受け止められたと感じています。

「いきなり正社員として働くことはハードルが高い」という方も今の働き方を少しずつ変えていき、パートから短時間正社員、ゆくゆくは正社員へとステップアップしてほしいと期待しています。

これから「社会保険加入促進コース」に
申請しようとしている企業にメッセージをお願いします。

これから先、人手不足はますます深刻になり、優秀な人材を確保できるかどうかは中小企業にとって喫緊の経営課題になると感じています。そうした中で、「コストがかかるからうちの会社ではできない」と制度づくりをはじめから諦めてしまうのは、とてももったいないことです。大切なのは、目先のコストではなく「どこに価値を置くか」という視点ではないでしょうか。

当社では、自ら動いて能力を最大限に発揮できる質の高い人材を確保し、育てていくことを「未来への投資」と捉えています。大企業のように潤沢な資金がなくても、経営者の考えや思いが直接伝えられるのは中小企業ならではの強みです。会社が環境整備という形で従業員に示す思いやりは、確実に従業員の会社への信頼感を生み、ひいては「この会社に貢献したい」という気持ちにつながっていくはずです。

その第一歩として、まずは、従業員の声を拾うことから始めてみてはいかがでしょうか。従業員と常日頃からコミュニケーションを取るなどして、まずは従業員の本当の気持ちを知ることが、従業員にとって必要な制度設計を考えるうえでの出発点となり、会社との信頼獲得にも結びついていくのだと思います。

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